ディエゴ・ベラスケス 「ウルカヌスの鍛冶場」

ディエゴ・ベラスケス

17世紀に活躍したスペイン宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの作品「ウルカヌスの鍛冶場」で、ギリシア神話を題材にした作品です。

ウルカヌスとはギリシア神話の火と鍛冶の神の事です。

ベラスケスが1629~1631年と1649~1650年にスペイン宮廷画家としてイタリアに滞在しており、技術習得の他、外交、美術品の買い付けなどを行っております。

本作品は1629~1631年のイタリア滞在期に制作されてものです。

作品 ウルカヌスの鍛冶場

ベラスケスはイタリア滞在によりルネサンス期の巨匠の作品の他、当時、イタリアで全盛だったバロック作品を鑑賞し自身の絵画に取り入れました。

ウルカヌスの鍛冶場
1630年

1630年
ディエゴ・ベラスケス
「ウルカヌスの鍛冶場」
プラド美術館蔵(スペイン マドリード)

ベラスケスの初期の作品と比較すると、明暗対比は柔らかくなり人物の描写もより自然な描写となっています。

(参考:ベラスケス初期の作品)「東方三博士の礼拝
1619年

1619年
ディエゴ・ベラスケス
「東方三博士の礼拝」
プラド美術館蔵(スペイン マドリード)

また、画面右下の甲冑の表現や中央の赤くなった鉄などの描写は、ベラスケスが得意としていた写実的表現がさらに向上していると言われています。

本作品は、美の神ヴィーナスに恋心がある太陽神アポロがヴィナースの夫である鍛冶の神ウルカヌスの鍛冶場を訪れ、ヴィーナスが軍神マルスと不貞を働いていると密告している場面です。

画面左端に神々しく描かれているのがアポロ、その右隣で驚いているのがウルカヌスです。

神々しく描かれているアポロに対して、ウルカヌスは他の鍛冶同様に普通の人のように描かれています。

神話の場面を描いていますが、風俗画的な要素も含まれています。

アポロから発する光と鍛冶たちが打つ鉄の光や鉄を熱する鎌の光が、神々と人々の違いを対比しているような印象を受けます。

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