マネ キアサージ号とアラバマ号の海戦

絵画

西洋絵画の近代化、印象派が登場するきっかけを作ったエドゥアール・マネが描いた歴史画「キアサジ号とアラバマ号の海戦」です。

マネがはじめて同時代の歴史的事柄を描いた歴史画で、はじめて海洋の風景を描いた作品でもあり貴重な作品です。

アメリカ南北戦争がはじまって4年後にフランス北西部のシェルブール港沖で起きた海戦が描かれています。

マネ自身は海戦を目撃しておらず、新聞の内容と予め描いていたキアサージ号のデッサンをもとに制作したとされています。

マネはキアサージ号を題材に同年、別の作品も制作しています。

作品 キアサージ号とアラバマ号の海戦

本作品はマネがサロン入選を目的に制作した作品と言われています。当時はサロン審査委員会は風俗的な作品より歴史画を好む傾向にあり、マネもはじめて歴史画を描いたようです。

本作品は1872年のサロンに入選、展示されています。

キアサージ号とアラバマ号の海戦
1864年

1864年
エドゥアール・マネ
「キアサージ号とアラバマ号の海戦」
フィラデルフィア美術館蔵(アメリカ フィラデルフィア)

荒れる海の様子に砲撃され沈没するアラバマ号が迫力ある描写で描かれています。

海戦はアラバマ号がフランス軍艦艇に護衛されシェルブール港を出港し公海上へ出た時点で行われました。

アラバマ号の他に作品右端に一隻とアラバマ号の煙の後ろに一隻の船が描かれております。海戦自体は2隻で行われたため、一隻はキアサージ号で一隻はフランス海軍の船かと思いますが両船ともアメリカ国旗らしきものが見えるのではっきりとはわかりません。

この海戦は見物人の多くが海上まで行って見守ったことでも有名で、作品前衛に描かれているのは、その見物人の描写といわれています。

一方で沈没するアラバマ号の水平を救出するために向かっているフランス軍ヨットとも言われています。

マネはキアサージ号を題材に同年、別の作品も制作しており、その際のスケッチなどを参考に本作品も制作したと思われます。

ブローニュ=シュル=メールに停泊するキアサージ号
1864年

1864年
エドゥアール・マネ
「ブローニュ=シュル=メールに停泊するキアサージ号」
メトロポリタン美術館蔵(アメリカ ニューヨーク)

マネは本作品をサロン入選を目的に描きましたが、前年に代表作「草上の昼食」で多くの非難をあびたためにサロン入選を最重視し風俗画よりも確実な歴史画を描いたのかもしれません。

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