フランソワ・ミレー 晩鐘

絵画

農民の生活や仕事風景を描いた作品で有名なジャン=フランソワ・ミレーの作品です。

晩鐘」は、アメリカ美術協会とフランス政府が争奪戦をした作品で、その結果高額な価格が付けられた作品でもあります。

作品は一度、アメリカに渡ったものの、フランスのデパート王に買い戻され現在はオルセー美術館に所蔵されています。

当初、ミレーは本作品を1,000フランで売却しましたが、買い戻された際の価格は80万フラントなっていました。

作品 晩鐘

本作品は、もとものアメリカ人の作家で美術品コレクターだった男性から注文を受け、作成したものでした。

結局、注文主は引き取りにくることなく作品はミレーの手元に残ります。

晩鐘
1857-1859年

1857-1859年
ジャン=フランソワ・ミレー
「晩鐘」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)

ミレーは作品に教会の塔を描き加え、ミレーが活動拠点としていたバルミゾンに隣接するシャイイ=アン=ビエール平原を背景とし、そこで祈りを捧げる農民としました。

その際、作品名を「晩鐘」としたようです。

農民の足元のには鍬、荷車が描かれ2人の労働への真摯な態度と籠に入ったジャガイモで生活の厳しさを表現しています。

女性だけ夕日に照らされ、祈りを捧げているようにも見えます。

当時の農村では宗教的役割を女性が引き受けていたことを表しているのではないかと言われています。

また、農民の顔は、はっきり判別できないように描かれています。

人種や国籍などに関係なく感情移入できるようになっています。

また、宗教的な意味合いが強い表現ながら十字架やキリスト像、マリア像などが描かれていません。

アメリカとフランスの作品争奪戦

アメリカでは、宗教色が強い作品は敬遠されがちで宗教色の強くない作品が人気でした。

また、「晩鐘」は特定の人種や国籍なども感じないことからアメリカ美術協会が購入を検討。

一方、フランス革命100周年として開かれるパリ万博に「晩鐘」を展示したいとフランス政府の美術局長も購入を試みます。

オークションでアメリカとフランスが競う形で価格が吊り上がりました。オークションはフランスが落札しますが落札価格が予算以上であったため議会の承認を得られず、結局、作品はアメリカに渡ります。

しかし、その1年後フランスのデパート王が買い戻し、9年後にルーヴル美術館に寄贈しています。

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