ポール・セザンヌ 「オーヴェールの首吊りの家」

絵画

近代絵画の父と言われるポール・セザンヌが、第一回印象派展に出品した作品「オーヴェールの首吊りの家」です。

セザンヌのキャリア初期の作品で、印象派の画家たちと交流をしながら彼らの技法を自身の作品に取り入れていた時期の作品です。

本作品は、セザンヌがパリ郊外のオーヴェール=シュル=オワーズに移り住み、そこで印象派画家のピサロなどとともに制作した作品の一作です。

題名にある「首吊りの家」ですが、作品中に描かれている家で首吊り事件があり、その家がそう呼ばれていたという説がありますが、理由は不明です。

オーヴェール=シュル=オワーズはピサロの他、コロードービニーゴッホなどが滞在し作品を制作した地で、ゴッホが自画像をのこしたガシェ医師も暮らしておりアマチュア画家だったガシェ医師は、オーヴェールに滞在する画家たちと交流をもち、セザンヌとも交流しています。

作品 オーヴェールの首吊りに家

セザンヌピサロや他の画家たちから印象派の技法を習得しつつ、その後のセザンヌ独自の表現方法へとつながる技法も垣間見せている作品とされています。

また、印象派の技法を学ぶことで本作品以降、セザンヌの作品は明るい色調となっていたっと言われています。

オーヴェールの首吊りの家
1872-1873年

1872-1873年
ポール・セザンヌ
「オーヴェールの首吊りの家」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)

作品には、ほぼ均一に陽光が描かれており、光の移り変わりの描写を試みていた印象派の作品とは違う表現方法です。

作品前面に描かれた小屋の屋根と左から現れる小道は、奇抜な構成である一方で、整然と家屋が描かれており対象的です。

同じ屋根ながら、右側の屋根の描写は柔らかい質感ですが、反対の家々は固い質感で描かれています。

絶妙に配置された木々と間に描かれているオーヴェールの遠景、家々の屋根が対照的な奇抜な構図でありながら奇抜さをやわらげているような印象を与えています。

セザンヌは、本作品を印象派展に出品したのち、印象派の表現方法に満足がいかず、徐々に独自の作風の確立へと向かい、その後のキュピニズムのきっかけとなります。

本作品でも既に、物の質感や作品の構図、光の描写など印象派とは違う描写などセザンヌの独自性がでていると言われています。

セザンヌも他の画家同様に印象派展で酷評されてしまいますが、本作品は印象派展終了後、収集家の伯爵に高値で買い取れています。

オーヴェール=シュル=オワーズにはゴッホの自画像で有名なガシェ医師も暮らしており、セザンヌとも交流をもっていました。

セザンヌはガシェ医師の家を作品にのこしています。

ガシェ医師の家
1872年

1872年
ポール・セザンヌ
「ガシェ医師の家」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)

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