ムリーリョ 「貝殻の子供たち」

絵画

17世紀のスペイン黄金時代の代表的な画家バルロメ・エステバン・ムリーリョの作品「貝殻の子供た」です。

貝殻を持つ幼児キリストと洗礼者聖ヨハネ」「貝殻をもつ幼児たち」などとも呼ばれています。

描かれているのは幼児のイエス・キリストと洗礼者ヨハネで、宗教画となりますがムリーリョは幼児たちを市中の子供たちのように描いており、風俗画的な印象を作品に当たています。

ムリーリョは一般の子供の様子を描いた作品をおおく残しており、本作品も意識的にイエス・キリストと洗礼者ヨハネの幼児を一般の子供のように描いたと思われます。

ムリーリョはバッロク期の画家で、バッロクを代表する画家でもありますが本作品は、優雅な色彩と色調でロココの先駆的画家とも言われています。

作品 貝殻の子供たち

本作品には幼児のイエス・キリストと洗礼者ヨハネを中心に背景に天使たち、左下にイエス・キリストを意味する仔羊が描かれており、宗教画であることがすぐに認識できます。

貝殻の子供たち
1670年頃

1670年頃
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
「貝殻の子供たち」
プラド美術館蔵(スペイン マドリード)

本作品は宗教画ですが、描かれている幼児のイエス・キリストと洗礼者ヨハネは普通の子供の用に描かれており、神々しさは強調されておらず愛らしい印象を与えています。

作品の題名にもなっている貝殻を差し出しているのはイエス・キリスト、その貝殻の水を飲んでいるのが洗礼者ヨハネです。

洗礼者ヨハネは、自身を払わす長い十字架の杖をもっており、そこには新約聖書や福音書内の「Ecce Agnus Dei(神の仔羊をみよ)」と書かれた紙片が巻き付けられています。

左下の仔羊は、二人の幼児たちの遊び相手であると同時に、イエス・キリストに導かれる信者たちやイエス・キリスト自身の象徴として描かれています。

また、仔羊と幼児二人で三角形を構成させて、作品にとても安定した印象を与えています。

聖書では、洗礼が行われるまで、イエス・キリストとヨハネは面識がないため実際には二人が幼児として一緒に描かれることに対しては矛盾があるのですが、本作品のように聖人を幼児で描くことは当時の貴族たちに非常に人気がありました。

本作品も教会からの発注ではなく、貴族など個人からの注文を受け制作されたと考えられています。

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