ポール・セザンヌ 「ピアノを弾く若い娘(タンホイザー序曲)」

絵画

近代絵画の父と言われるポール・セザンヌのキャリア初期の作品「ピアノを弾く若い娘(タンホイザー序曲)」です。

タンホイザーとはドイツの作曲家ワグナーが作曲したオペラの名前です。

本作品では、セザンヌは自身の妹ローズと母親を描いています。

キャリア初期の作品ですが、直線的な人物の描写やシンプルに描かれた室内の様子など、後にセザンヌが近代絵画の父と呼ばれる理由となる技法が既に見てとれる作品です。

作品 ピアノを弾く若い娘(タンホイザー序曲)

本作品にはピアノを弾くセザンヌの妹ローザと椅子に座って編み物をする母親が描かれています。

ピアノを弾く若い娘(タンホイザー序曲)
1869-1870年

1869-1870年
ポール・セザンヌ
「ピアノを弾く若い娘(タンホイザー序曲)」
エルミタージュ美術館蔵(ロシア サンクトペテルブルク)

妹ローザがピアノ用に編曲されたワグナー作のオペラ「タンホイザー」を弾いています。

その描写はとても直線的に描かれており、顔の表情もあまり見て取れません。またピアノの描写も直線的で簡易的に見えます。

本作品の完成後、セザンヌは妹ローザに本作品をプレゼントしています。

椅子に座って編み物をしている女性はセザンヌの母親とされています。

筆跡を残しながら母親の描写もシンプルに済ませています。

画面右に描かれている椅子の様なものは、他の作品に登場している椅子と同じ物と考えられます。

父親を描いた「「レヴェヌマン」紙を読む画家の父」と友人で画家のアシル・アンプレールを描いた「アシル・アンプレールの肖像」に登場している椅子と同じ物と考えられます。

「「レヴェヌマン」紙を読むルイ・オーギュスト・セザンヌ(画家の父)
1688年

1866年
ポール・セザンヌ
「「「レヴェヌマン」紙を読む
ルイ・オーギュスト・セザンヌ(画家の父)」
ナショナル・ギャラリー(アメリカ ワシントンD.C.」

アシル・アンプレールの肖像
1868年

1868年
ポール・セザンヌ
「アシル・アンプレールの肖像」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)

本作品や「「レヴェヌマン」紙を読むルイ・オーギュスト・セザンヌ(画家の父)」「アシル・アンプレールの肖像」制作時は、サロンへに落選が続いているなか、自身の画風を模索しているなかでもあったようで、作品からも少し寂し気な印象を受けます。

妹ローザの直線的描写、床や壁を簡易的、シンプルに描いている本作品は、キャリア初期の作品のなかでもその後のセザンヌの画風を示す要素が含まれた作品と言えます。

Bitly

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