ロレンツォ・ロット ランプのある青年の肖像

絵画

ロレンツォ・ロットは盛期ルネサンス期の画家でミケランジェロラファエロと同時代の画家で、ミケランジェロの4歳下、ラファエロの3歳上という年代です。

ロットはヴェネチアで生まれましたが、当時のヴェネチアでは既にティツィアーノなどヴェネチア派が活躍しており、ロットは活躍の場を求めてヴェネチアを出たと言われています。

ロットは各地を転々として、各地の絵画の様式を吸収していき、独自の路線を発展させた画家で、人間の内面をはじめて描いた画家とも言われています。

本作品「ランプのある青年の肖像」はロットの初期の作品で、一見すると普通の肖像画ですが多くの意味が込められています。

作品 ランプのある青年の肖像

本作品「ランプのある青年の肖像」のモデルは、ロットが残した作品の中のヒントから導きだされ特定されています。

モデルは、司教の若き書記官ブロッカルド・マルキオストロという人物です。

ランプのある青年の肖像
1506年頃

1506年頃
ロレンツォ・ロット
「ランプのある青年の肖像」
美術史美術館蔵(オーストリア ウィーン)

青年の肌質、髪質が分かるぐらいに丁寧に青年の顔が描かれています。

同じように背後の白いカーテンの柄も丁寧に描かれています。また柄には、このモデルを特定させるヒントが意味されていました。

カーテンは錦織の布で、模様には荒れた土地に生息する植物ヒレアザミがあしらわれています。

錦織(BROCADE)にヒレアザミ(CARDUUS)があしらわれており、モデルはブロッカルド(Broccardo)であることを暗喩しています。

また、ブロッカルドは自身の上司となる司教ロッシとともに陰謀を企てたりしており、カーテンは隠し事をしていることも暗喩していると考えられます。

本作品には奥にランプが描かれており、一般的には命の儚さを表しますが、本作品では隠した本音と変わらぬ意思を表していると言われています。

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