17世紀 オランダ黄金期の画家へラルト・テル・ボルフの作品「一杯のレモネード」です。
テル・ボルフは主に肖像画や風俗画を制作、当時のオランダの人々の様子を描いています。
本作品では娼婦と男性、それを仲介する老女(取り持ちの女)が描かれています。
当時のオランダの画家達の間では、娼婦と男性、仲介する老女(取り持ちの女)を題材にした作品が制作されることが多くありました。
題名の「一杯のレモネード」は、後世に付けられた題名で、本作品の題材が娼婦であることが理解されていなかったことが分かります。
作品 一杯のレモネード
本作品は、オランダ黄金期でよく描かれた娼婦と男性、仲介する老女(取り持ちの女)を描いた作品と現在では考えられています。
題名「一杯のレモネード」から、長い間、内容が理解されていなかったことが分かります。
「一杯のレモネード」
(1664年頃)
男性と女性が手に持つレモネードが入っているようなグラスから本題名が付けられたようです。
現在では、男性が女性に交渉しているような様子と、老女が女性の方に手をのせている様子から娼婦と男性、その仲介をする老女(取り持ちの女)を描いているとされています。
また、このような題材は当時のオランダの画家達が好んで描いていた題材でした。
「取り持ちの女」(ヨハネス・フェルメール)
(1656年)
「取り持ちの女」(ディルク・ファン・バビューレン)
(1622年頃)
テル・ボルフの作品ではあまり直接的な表現はしていないため、後世の人々に内容が理解されなかったことが伺えます。
テル・ボルフの他の作品でも長い間、題材が理解されていなかった作品「意味ありげな会話」があります。
この作品も娼婦と交渉する男性、仲介する女性(取り持ちの女)が描かれていると現在では言われていますが、当初は父親が若い娘を諭旨ている描写と考えれていました。
「意味ありげな会話」
(1654年頃)
本作品「一杯のレモネード」では、画面中心に男性を配置し女性と老女は左手に、右手は暗闇に台と食器が描かれ、構成的にはバランスを欠いています。
意図的に画面中心から人物たちをずらし、秘め事を話しているような様子を表現しているような印象を与えていると考えられます。
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