16世紀、初期バロック期の画家でバロックを確立するとともにルネサンス期の古典様式を復活させたアンニーバレ・カラッチの作品「ピエタ」です。
カラッチは初期バロック期の画家でバロックの確立に大きな影響を与えた画家カラヴァッジョと同時期に活躍した画家です。
カラッチはカラヴァッジョ同様にバロック確立への影響を与えたものの、現実の描写に重点を置いたカラヴァッジョと違い、古典的様式に現実的描写を取り入れて作品を制作しています。
当時は、宗教改革が起こり、カトリック教会は宗教画へ厳しい基準を課していたため、カラヴァッジョは度々、作品へのクレームを受けていたようですが、カラッチの作品はカトリック教会が求める様式で制作されており、クレームを受けることもなかったようです。
本作品「ピエタ」は、ミケランジェロの代表的彫刻作品の一つサン・ピエトロ大聖堂にある「ピエタ」の影響を受けて描いた作品です。
作品 ピエタ
本作品「ピエタ」はカラッチの作品の中でも最高傑作ともされ多くの複製画やバージョンを変えて描かれた作品が制作されています。
カラッチが出身地のボローニャからローマへ出て、代表作と言われるファルネーゼ宮殿の天井画を描いている時期に制作した作品と言われています。
「ピエタ」
(1600年頃)
本作品は、ローマのサン・ピエトロ大聖堂にあるミケランジェロの彫刻作品ピエタの影響を受け、制作されています。
「サン・ピエトロのピエタ」(ミケランジェロ・ブオナローティ)
聖母マリアが左手を上げていますが、ミケランジェロのピエタのオマージュと考えられます。
イエス・キリストは光を浴びているような神々しさで描かれています。
聖母マリアとイエス・キリストの足元には天使が二人描かれています。
一人は、イエス・キリストの左手を持ち、もう一人はいばらの冠のとげに指をさし鑑賞者へ視線を向けています。
イエス・キリストの受難を思い浮かべるように伝えていると言われています。
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