印象派の中心的画家で、8回開催された印象派展の全てに参加した画家カミーユ・ピサロの作品「赤い屋根、冬の効果」です。
ピサロの代表作とも言われ、原題は「赤い屋根の家々、村の一角、冬景色」とされています。
「赤い屋根、冬の村」「ポントワーズのサン・ドニの丘」など他の題名が付いてる場合もあります。
本作品「赤い屋根、冬の効果」は第3回の印象派展に出品されています。
作品 赤い屋根、冬の効果
印象派の中でも戸外での作品制作を推奨していたピサロは、セーヌ川支流のオワーズ川ほとりのポントワーズという場所に住み、そこの風景を戸外で描写しています。
「赤い屋根、冬の効果」
(1877年)
秋から冬に向かうポントワーズのエルミタージュ地区、コート・デ・パブという丘の風景を描いています。
草木が枯れた木々が画面の前面に描かれ、その間から赤い屋根の家々が見える光景となっています。
意図的に鑑賞者の視界を遮り、より鑑賞者が画面を注意深く見るような効果を与えているようです。
また、三角形の屋根や煙突の長方形で描かれた家々の連なりは、奥の緩やかな曲線で描かれた丘の稜線と対照的です。
赤と緑を基調に、少し粗い筆跡で何度か塗り重ねられた描写は、晩秋の弱い日の光を感じさせる描写となっています。
本作品制作当時、ポントワーズには他の画家も訪れ作品制作をしており、特にピサロが評価していたセザンヌとは長い時間を共に過ごし、イーゼルを並べて作品制作をしていたようです。
「ポントワーズの橋と堰」(ポール・セザンヌ)
(1881年)
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