印象派の代表的画家クロード・モネの作品「プールヴィルの断崖の上の散歩」です。
モネは、自身の作品が買い取られるようになり経済的にも安定してきた時期に、ノルマンディー地方へ作品制作のために訪れ、その周辺地域の風景を作品にのこしています。
プールヴィルはノルマンディー地方の避暑地です。
本作品もそのうちの作品の一つですが、作品に描かれている2人の女性は後妻とその娘と推測されており、後妻は日傘をさした様子が描かれています。
日傘をさした女性は、すでに亡くなったいる先妻カミーユと長男ジャンを描いた代表作「散歩、日傘をさす女性」を思わせる描写です。
作品 プールヴィルの断崖の上の散歩
本作品は、最後の印象派展となった第7回印象派展と同じ年に制作されており、モネも画家として評価を受けはじめていた時期の作品です。
「プールヴィルの断崖の上の散歩」
(1882年)

クロード・モネ
「プールヴィルの断崖の上の散歩」
シカゴ美術研究所蔵(アメリカ シカゴ)
印象派の特徴の分割筆触の技法は確立しており、崖下の海面の描写や崖の草の描写などモネが探求した光の揺らめきを鑑賞者に感じさせる描写となっています。

崖の上には散歩する二人の女性が描かれ一人は日傘をさしています。

モネは、1879年に妻カミーユと死別しており、その後、破産したパトロンの妻だったアリス・オシュデという女性と再婚しています。
モネは妻カミーユと長男ジャンをモデルに代表作「散歩、日傘をさす女性」を描いており、また後に「パラソルをさす女」を描いています。
モネにとっては日傘をさす女性は亡くなったカミーユを想う重要な題材だったように思われます。
「散歩、日傘をさす女性」
(1875年)

クロード・モネ
「散歩、日傘をさす女性」
ナショナル・ギャラリー蔵(アメリカ ワシントンD.C.)
「パラソルをさす女」
(1886年)

クロード・モネ
「パラソルをさす女」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)
また、本作品は左右非対称な作品となっているものの対角線にて海と崖をわけており、画面のバランスをとっています。


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