ポール・セザンヌは「カード遊びをする人々」を5点、作成しています。
作品の大きさや描かれる人の数など、それぞれ異なりますが、セザンヌはこの5点の作品のために膨大な下絵やドローイングを残しています。
そのうちの1点は、2011年にカタール王族が当時の絵画の最高価格で購入しています。
バーンズ財団の「カード遊びをする人々」
「カード遊びをする人々」
(1890-1892年)
本作品が5点のうち、一番大きいもので34.6 x 180.3 cmのカンヴァスの中に5人が描かれています。
奥でパイプをくわえ立っている男は、作品に奥行きをもたせ、鑑賞者の目を上に向けるために描かれたと言われています。
メトロポリタン美術館の「カード遊びをする人々」
「カード遊びをする人々」
(1890-1892年)
この作品は、最初の作品の半分程の大きさで、奥でゲームを見ていた少年がいなくなっています。
また額縁もなくなり、後の3点の作品では、不要なディテールをそぎ落としているのですが、その途上の作品だと思われます。
オルセー美術館の「カード遊びをする人々」
「カード遊びをする人々」
(1894-1895年)
5点のなかで、最も有名な作品です。5点のなかで最も小さい作品です。
本作品は、1961年に盗難に会いますが、代金が支払われたため返却されました。
コートールド・ギャラリーの「カード遊びをする人々」
「カード遊びをする人々」
(1892-1895年)
カタール王族の「カード遊びをする人々」
「カード遊びをする人々」
(1892-1893年)
2011年にギリシャの海運王からカタール王族が約300億円から約350億円で購入したと言われています。
対の表現
後半3点の作品は、中央のカードを中心にして左右のコントラストが表現されています。
帽子のつばが下向き、上向き。パイプをくわえている、いない。
また、右側の男性に光があたり明るく描かれていますが、手元のカードは暗くなっています。
左右の違いを中心にあるカードが結んでいる構造となっています。
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