ルネサンス盛期のヴェネチア派の巨匠ティツィアーノ・ヴェチェッリオが描いた数少ない子供の肖像画です。
当時はまだ社会的地位や何も業績がない子供の肖像画を描くことはなく、本作品は西洋絵画のなかで子供の肖像画として初期の作品と考えられます。
ティツィアーノは意識的に少女を大人の女性の肖像画と同様の構図で描いていると言われています。
子供のプロポーションが大人と違うことは当時から認識されていましたが、ティツィアーノは大人とは違うプロポーションを、大人と同じ肖像画の構図で描くことで、違いを際立たせているようです。
作品 クラリッサ・ストロッツィの肖像
クラリッサ・ストロッツィはイタリア フィレンツェの貴族で、かつ裕福な商人の長女です。本作品をモデルをした当時はまだ2歳でした。
少女の服装や身に着けている貴金属はとても高価なもので、少女の家柄が表現されています。
「クラリッサ・ストロッツィの肖像」
(1542年)
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
「クラリッサ・ストロッツィの肖像」
絵画館蔵(ドイツ ベルリン)
少女の隣には小型犬が描かれています。少女が小型犬に菓子パンを与えている様子が描かれていますが、少女は何かに気を取られているようです。
一方、小型犬は一点を見つめており少女より落ち着いて見えます。
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ティツィアーノは作品の左と右で色彩を明確に分けています。
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作品の右は毛並みのいい小型犬、窓の外の景色、テーブルからずり落ちている赤いクロス、テーブル下のキューピットのレリーフと色彩や描写が豊かです。
左側は暗く、少女がとても目立つようにされています。
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少女が腰から下げる装飾品が揺れる描写で、少女が何かに気を取られ体を動かした様子がわかります。
この装飾品はポマンダーというもので、香水入れ、また臭いによる厄除けなどの目的があったそうです。
少女と小型犬の対に合わせるようにテーブル下の2人のキューピットの対のレリーフと外の景色に小さく白鳥の対が描かれています。
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また、テーブルの側面にティツィアーノの署名が記載されています。
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