ピーテル・ブリューゲル 「バベルの塔」

ピーテル・ブリューゲル

ピーテル・ブリューゲルは、バベルの塔を題材にした作品を3点制作したことが分かっていますが、現存しているのは2点のみとなっています。

現存する2点は、作品の大きさの違いから「大バベル」と「小バベル」と呼ばれています。

大バベル

バベルの塔
(1563年)

1563年
ピーテル・ブリューゲル
「バベルの塔」
美術史美術館(オーストリア ウィーン)

ブリューゲルのキャリアの中期頃に描かれた作品です。

大きさは、114cmx155cm とそれ程大きいわけではありませんが、後の作品が小さいものとなっているため「大バベル」と呼ばれています。

ブリューゲルの他の作品同様、いろいろと細かい描写がされており、それぞれに意味が含まれています。

作品の左下には、バベルの塔の建設を命じたニムロド王とその取り巻き達、ニムロド王に膝をついて祈る石工職人達が描かれています。

塔は港と隣接しており、物資が運ばれてきています。ブリューゲルの活動拠点であったアントウェルペン(アントワープ)も港町として栄えていました。

物資を上階へ運ぶ滑車やその機械が描かれ、当時の最新鋭の機械が作品に描かれています。

小バベル

小バベル」はブリューゲルの晩年の作品です。

バベルの塔
(1568年頃)

1568年頃
ピーテル・ブリューゲル
「バベルの塔」
ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館蔵(オランダ ロッテルダム)

大きさは、60cmx74.5cm と「大バベル」の半分ほどの大きさです。

大バベル」は石とレンガで塔を建設している様子が描かれていましたが、「小バベル」はレンガのみで建設されているようです。

また、地平線がより低く描かれていることもあり、塔自体は「大バベル」よりも高く見えます。

両「バベルの塔」には、多くの建設作業の人々が描かれており、当時のオランダの工事風景を描いていると言われています。

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