16世紀 盛期ルネサンスの後に流行したマニエリスム期の画家パルミジャニーノの自画像「凸面鏡の自画像」です。
当時はまだ平面の鏡を作る技術が確立されておらず、鏡と言えば凸面だった時代でした。
凸面鏡に映った自身を描くために、特別に用意した凸面版に描かれています。
本作品は潜在的顧客への自身の技術をアピールするための作品として描かれた作品で、パルミジャニーノの技術の高さを示しています。
作品 凸面鏡の自画像
本作品に自画像を描いたパルミジャニーノは、当時21歳でした。床屋で見ていた凸面鏡に着想を得て描いたと本人が述べています。
「凸面鏡の自画像」
(1523‐1524年)
凸面による歪みを、忠実に再現されており手前の自身の手は大きくゆがんで描いています。
また、服の短い毛も細かく表現されており、技術の高さを示しています。
本作品は、直径24.4cmと小さく凸面板に描かれており、パルミジャニーノの技術の高さを示すのには十分な作品で当時も賞賛されたようです。
盛期ルネサンスの巨匠たちの影響を受け、特にラファエロの影響をうけており、ラファエロ同様に画面構成に安定感を与える三角形の構成も採用しています。
パルミジャニーノはマニエリスム様式の身体が引き延ばされたような人物像を描き、幻想的な作品をのこしています。
37歳で亡くなってしまいますが、晩年は錬金術に傾倒して心身ともに壊していたようです。
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