16世紀 フランドル地方(オランダ、ベルギー周辺)で活躍、当時の市民や農民の様子を描いたピーテル・ブリューゲルの初期の作品「二匹の猿」です。
本作品「二匹の猿」が表現するものとしてえは多くの説や解釈が言われていますが、はっきりと判明していません。
貿易港として栄えたアントワープでは、当時でもめずらしいアフリカの動物を見ることができ、本作品ではその一つのマンガベイという種類の猿を描いています。
ブリューゲルは1563年にアントワープからブリュッセルに移り住みますが、本作品はその前年に描かれ、アーチの奥にアントワープの様子が描かれています。
ブリューゲルがアントワープの様子を描いたのは本作品のみが確認されています。
作品 二匹の猿
本作品は23cm x 20cm と小さな作品でオーク板に油彩で描かれています。
作品に描かれている二匹の猿は、主にアフリカに生息するマンガベイとい種類の猿のようです。
鎖につながれている猿の表情は悲しげで、自分たちの現在の状況、将来について憂いているようです。
もう一匹の猿は、背を丸めて何か反省をしているようにも見えます。
二匹の猿の間には食べ終わった木の実の殻が散らかっており、猿が食べた後なのが分かります。
鎖につながれている状況も描かれ、人間の欲とその欲に対する罰が描かれているとも思われます。
キリスト教では猿は貪欲という意味もあるようです。
猿が繋がれているアーチの奥に描かれている港はアントワープとされ、ブリューゲルが描いたアントワープは本作品のみ確認されています。
貿易港として栄えている様子がわかります。
ブリューゲルは、本作品の制作の翌年にブリュッセルに移り、当時の市民や農民の様子を描いた作品を多く制作しています。
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