16世紀のオランダ地方の画家で当時の市民の様子や諺を表現した作品を多く制作したピーテル・ブリューゲルの作品「イカロスの墜落のある風景」です。
しかし、本作品はブリューゲルの真贋が疑われており、現在も議論が続いていますが、早期に模写された物ではないかとの説が有力のようです。
題材は、ギリシャ神話のイカロスの翼のある場面が描かれ、現在、確認されているブリューゲル作品で唯一神話を題材にした作品です。
しかし、本作品ではイカロスは小さく描かれ、神話を主題としていない作品です。
作品 イカロスの墜落のある風景
ブリューゲルの真贋が議論されている作品です。模写の場合でも作品完成後に早期に模写されたものとされています。
「イカロスの墜落のある風景」
(1560年代)
本作品では、蝋の翼で太陽に近づきすぎたイカロスが蝋が溶けて海に墜落したところが描かれています。
しかし、画面上ではとても小さく描かれています。
また、画面上の他の人々は海に墜落したイカロスに気づいていないようです。
神話上では、空を飛ぶイカロスを見上げおどろく描写がされている農夫、羊飼い、釣り人ですが本作品ではそれぞれ違う方を見ています。
釣り人などは、目の前にイカロスが墜落しているのに釣りに集中しています。
本作品でブリューゲルはオランダ地方の諺 ”人が死しても、鋤は休まぬ” を表現しようとしたと考えられます。自分の仕事をもくもくとこなす人々を称えた作品と考えられています。
また別の説では、苦しんでいる人への人々の無関心を表現した作品ではないかとの説もあります。
船上では船員達が働いていますが、船員達もイカロスには無関心です。
本作品には、別の模写もありそちらには空を飛んでいるイカロスの父ダイタロスが描かれているため、当初はダイタロスが描かれていたのではないかとも考えられています。
「イカロスの墜落のある風景(模写)」
(1590‐1595年頃)
ダイタロスが描かれていたとすると、羊飼いはダイタロスを見上げてると考えれます。
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