オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールの最初期の作品と考えられています。
フェルメールの作品のなかで唯一、ギリシャ神話をモチーフにした作品です。狩りの女神であるディアナを4人のニンフ達が囲んでいます。
ニンフとは下級女神、精霊のことを言います。
ギリシャ神話をモチーフにしながら、キリスト教の宗教画でよく題材とされたキリストの足を洗う行為と同じような、ディアナの足をニンフが洗う行為を描いていることから宗教画の側面も見られます。
フェルメールの作品と鑑定されたのは、20世紀に入ってからで、それまではレンブラントの弟子の作品と考えられていました。
作品 ディアナとニンフたち
フェルメールの最初期の作品で、ギリシャ神話を題材にしながらも女性の普通な日常を描いているようにも感じ、その後のフェルメール作品にも通じているように思われます。
「ディアナとニンフたち」
(1655-1656年)

ヨハネス・フェルメール
「ディアナとニンフたち」
マウリッツハイス美術館蔵(オランダ ハーグ)
中央の女性が三日月の冠を頭にのせていることから女神ディアナだと分かります。

ディアナを囲んで、4人のニンフが描かれていますが、ニンフたちの服装は当時のオランダの女性たちが着ていた服装で、鑑賞により身近な印象を抱かせています。

ディアナの足を洗う行為と足元の純白のタオル、真鍮製の水盤は純潔を想起させ、ギリシャ神話を題材にしながらキリスト教のイメージを抱かせます。
狩の女神ディアナの傍には犬がよく描かれるようですが、フェルメールも作品に犬を加えています。

現在判明しているフェルメール作品で動物が描かれている作品は非常に珍しく、本作品以外では「信仰の寓意」で蛇が描かれているぐらいです。
フェルメールは犬の耳を鉛筆の絵で引っ掻くようにして毛を描いたと考えれれています。

修復前
本作品は、1999年~2000年にかけて修復をうけ、その際、作品右上の空が19世紀に青空に変えられていたことがわかり、修復されています。

また、作品の右側15cmほどが切り取られたことがわかりました。

裁断されずに15cm分の暗闇の背景が残っていたととすると、印象もかなり変わってきます。
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