現在、ヨハネス・フェルメールの作品かどうか議論が続いている作品「聖プラクセディス」です。
聖プラクセディスとはキリスト教の聖人で殉教者の遺体を清めたとされています。
もし、本作品がフェルメールの真作となった場合、現存する作品のなかでもっとも初期の作品で、唯一の他の画家の作品を模写したものとなります。
本作品は、イタリア フィレンツェの画家フェリーチェ・フィケレッリの作品と全く同じ構図の作品となっています。
本作品は所有者から東京の国立西洋美術館へ寄贈されており、常設展示されています。
作品 聖プラクセディス
現存するフェルメールの作品のなかで宗教画は「マルタとマリアの家のキリスト」ぐらいで、本作品がフェルメールの真作となると2点目となります。
また、真作となった場合は現存する作品のなかでも最初期の作品となります。
「聖プラクセディス」(ヨハネス・フェルメール)
(1665年頃)
また、本作品はイタリア フィレンツェの画家フェリーチェ・フィケレッリの作品の模写です。
「聖プラクセディス」(フェリーチェ・フィケレッリ)
(1640-1645年)
フェリーチェの作品との違いは聖プラクセディスが手に黄金の十字架を持っているところのみです。
聖プラクセディスは背後に描かれている殉教者の血を染みこました布を絞り、血を杯に流し込んでいます。
聖プラクセディスの右の背後に描かれている女性は聖プラクセディスの姉妹である守護聖女プデンティアナであると言われています。
守護聖者プデンティアナは看護婦の守護者です。
フェルメールは結婚に際してプロテスタントからカトリックに改宗したことから、イタリアのフィレンツェの画家の宗教画を模写したとされ、フェルメールの真作だとする意見もあります。
また、フェルメール初期の作品「眠る女」の女性の表情と類似性があるとの意見もあります。
「眠る女」
(1657年)
真作としても、最初期の作品で模写ということもありフェルメールの特徴である光の描写等は見られません。
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