19世紀のイタリア人画家のフランチェスコ・アイエツの作品で、政治的意味合いが込められた作品です。
本作品は、その表現から通称「ロミオとジュリエット」とも呼ばれています。
アイエツが活躍していた時期は、イタリア統一運動が活発な時期で本作品はイタリアとフランスが行った密約を意味していると言われています。
本作品は3バージョン制作され、現在、イタリア ミラノのブレラ美術館が所蔵していますがアイエツはブレラ美術館の館長を務めました。
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「自画像」
作品 接吻
「接吻(キス)」
(1859年)
![](https://www.tabitobijutsukan.com/wp-content/uploads/2022/12/800px-El_Beso_Pinacoteca_de_Brera_Milan_1859.jpg)
フランチェスコ・アイエツ
「接吻(キス)」
ブレラ美術館蔵(イタリア ミラノ)
人気のいない石造りの階段で若い男女が秘められた恋を確かめるようにキスをしているシーンが描かれています。
奥には人影らしきものが描かれ、男性は石段に足をかけているなど、なにか慌ただしい様子で二人の恋は何か秘められた恋を印象付けられます。
![](https://www.tabitobijutsukan.com/wp-content/uploads/2022/12/800px-El_Beso_Pinacoteca_de_1.jpg)
アイエツが本作品を描いた当時、小国に分裂したイタリアが統一にむけて動いていた時期でした。
当時はオーストリアが間接的にばらばらの小国を利用しイタリアを支配していたのですが、イタリアはフランスの力を借りてオーストリアに対抗しようとしました。
本作品は、その際の密約を表現していると考えられています。
赤いタイツの男性がイタリア、青色のドレスの女性がフランスを表しているとされています。
後年の2バージョン
アイエツは後年、本作品の別バージョンを2作制作しています。
1861年にイタリア王国が建国され統一がなされます。その際に描かれた作品では女性は白いドレスとなっています。
「接吻(キス)」
(1861年)
![](https://www.tabitobijutsukan.com/wp-content/uploads/2022/12/faa59aa5.png)
フランチェスコ・アイエツ
「接吻(キス)」
ブレラ美術館蔵(イタリア ミラノ)
女性のキスはイタリア統一への祝福へのキスとされますが、このときフランスが突如、オーストリアと講和を結んだことからアイエツの出身地ヴェネチアはイタリア王国に加わることができず、フランスへの抗議として青色から白色のドレスとなったとも考えられます。
3点目は1867年のパリ万国博覧会に合わせて制作されました。1866年にヴェネチアは既にイタリア王国に加わっており、改めてフランスとの友好を表現した作品だと思われます。
「接吻(キス)」
(1867年)
![](https://www.tabitobijutsukan.com/wp-content/uploads/2022/12/354px-Bacio_1867.jpg)
フランチェスコ・アイエツ
「接吻(キス)」
ブレラ美術館蔵(イタリア ミラノ)
![](https://www16.a8.net/0.gif?a8mat=3ZB81O+5X57CI+54O2+62U35)
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