ディエゴ・ベラスケス 「セビーリャの水売り」

ディエゴ・ベラスケス

スペイン黄金期のバッロク絵画の巨匠ディエゴ・ベラスケスのキャリア初期の作品で、ベラスケスが20歳頃に制作した作品と考えられています。

ベラスケスはスペイン宮廷画家となり多くの名画を描きましたが、宮廷画家になる前はボテコンと呼ばれる静物と人物を台所や食堂といった場面の庶民の姿を描いた作品を多くのこしています。

ベラスケスはボデコンというジャンルの創始者的な画家の一人としても考えられています。

作品 セビーリャの水売り

ベラスケスの生まれ故郷でもあるスペイン南部の町、セビーリャで当時よく見かけられた水売りの様子が描かれています。当時は飲料水は貴重でした。

ベラスケスは後にマドリードに移りますが、その前にセビーリャで本作品を描いています。

1620年頃
ディエゴ・ベラスケス
「セビーリャの水売り」
アプスリー・ハウス(イギリス ロンドン)

本作品では暗い背景に左から光がさしているように描かれ、水売りの年配の男と水をもらう少年が対比されています。

また、男性と少年の間には水を飲む別の男性が描かれ、暗い背景の作品に奥行きを与えています。

また、水の入ったグラスを受け取る少年の若い手と男性の年老いた手が対比されているようです。

静物の描写

ベラスケスのキャリア初期の作品ですが、水の入ったグラスや壺などの静物の描写はかなり細かくされています。

水の入ったグラス

水が入ったグラスの描写では、少年の白い襟も反射している様子が描かれグラスからこぼれた水滴まで判別できます。

グラスの中には、当時よく毒消しとして用いられていたイチジクが描かれています。

水が注がれたグラスは、ヴェネチアングラスと考えられており、水を聖なるものとして特別に高価なグラスを描いたと考えられています。

素焼きの壺

水売りが持つ壺は素焼きのもので気化熱で中の水を冷たく保つことが出来るため、当時は重宝されていました。

壺には水の滴った跡も描かれおり、画面から出てくるような迫力で描かれています。奥で水を飲んでいる男性とこの壺の効果で作品には奥行きが出ています。

作品の構図

本作品内では多くの放物線が存在しています。

この多くの放物線によって、作品内の人物と静物にまとまりを持たせています。

また、本作品で描かれている少年は「卵を調理する老女」と同じモデルと考えられています。

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