新印象派でジョルジュ・スーラと共に点描表現の代表的画家ポール・シニャックの作品「井戸と女性」です。
「井戸端の女性」「井戸端のプロヴァンス嬢」とも呼ばれることがあります。
印象派の色を混ぜ合わせないという画風をさらに発展させて、色を点で配色することによって画面上においても色同士が混ぜあうことがないようにするという点描描写は、スーラが確立しシニャックがより発展させたものです。
本作品「井戸と女性」はスーラが若くして亡くなった翌年に発表されたもので、点描描写による配色を鑑賞者に強く印象づける作品でシニャックのスーラへの尊敬と賛辞が込められた作品でもあるようです。
作品 井戸と女性(井戸端の女性)
点描表現を提唱した若き画家スーラが亡くなった翌年に発表された本作品は、シニャックの作品のなかでも点描による彩色の美しさが印象付けられる作品です。
「井戸と女性(井戸端と女性)」
(1892年)
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ポール・シニャック
「井戸と女性(井戸端と女性)」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)
山吹色の丘、画面手前の草木と女性の水瓶の緑、海の青色の三色の強い印象を受け、女性のスカートの紫がアクセントになっている配色です。
特にあざやかな海の青色と丘の山吹色の対称性が強く鑑賞者の視線を引き付けます。
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また、山吹色の丘には緑色を3配色、上から徐々に鮮やかな緑色で配色し鑑賞者の視線を誘導しているようです。
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構成的には井戸と女性で三角形を構成し、鮮やかな配色をして、煩雑になりがちな画面に安定感を与えています。
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また、井戸の水瓶を引き挙げる綱を利用して、画面に中央線を弾いて、青色と山吹色の対称と画面の安定感の両方の効果を与えています。
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どこか、非現実的な描写の本作品は、シニャックが大きく影響を受けたスーラが若くして亡くなった翌年に発表されており、空の描写や丘を登る女性の描写などは、どこかスーラへの思いを描いているようん印象を受けてしまいます。
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