ポール・セザンヌ 「アルルカン(道化)」

絵画

近代絵画の父とも呼ばれるポール・セザンヌ、キュビズムという多様な角度から見た物を一つの画面に収めるというピカソなどが確立した画風の先駆的役割を果たしました。

セザンヌは、当初はモネルノワールと共に印象派の一員として活動していましたが、印象派とは違う独自の表現方法を模索し、対象物の造形や存在感を描写しました。

本作品「アルルカン(道化)」は、物体としての人物の描写を強く印象付ける作品で、同題材を他に3点制作していることから、人物描写に試行錯誤していたうちの一作と思われます。

作品 アルルカン(道化)

作品中のアルルカン(道化)はセザンヌの息子をモデルにして描かれています。

アルルカン(道化)
1888‐1890年

1888‐1890年
ポール・セザンヌ
「アルルカン(道化)」
ナショナル・ギャラリー(アメリカ ワシントンD.C.)

自身の息子をモデルにしているにも関わらず、アルルカンの表情は描かれていません。

セザンヌが人物の表情描写に興味を持っていないことが分かります。

表情は簡素化されており物体として描いているのかもしれません。

本作品で一番に鑑賞者の目を引くの赤と黒の奇抜な衣装ですが、白い帽子と杖、表情が無いアルルカンとの対比の効果もあり、鑑賞者により強い印象を与えています。

また、多様な色彩を混合した背景が現実離れした世界が描かれているような印象を与えています。

本作品でセザンヌが人物を物として描く事に力点を置いており、人間を造形物をして描こうとしていることが明らかです。

本作品と同じ主題で他に3作制作しており、人間を造形物として描く事を試行錯誤を試みていたと思われます。

「ピエロとアルルカン」
(1888年)

1888年
ポール・セザンヌ
「ピエロとアルルカン」
プーシキン美術館蔵(ロシア モスクワ)

アルルカン(道化)
1888‐1890年

1888‐1890年
ポール・セザンヌ
「アルルカン(道化)」
個人所蔵
1888‐1890年
ポール・セザンヌ
「アルルカン(道化)」
ポーラ美術館蔵(日本 箱根)

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