19世紀の写実主義や印象派とは違った表現方法を目指した前衛的な芸術家集団のドニ派の画家、モーリス・ドニがポール・セザンヌの作品を画家たちが批評、礼賛している様子を描いた作品です。
ドニ派は、ポール・ゴーギャンやオディロン・ルドン、ジョルジュ・スーラといったポスト印象派の影響を受け、ポスト印象派からさらに芸術の神秘性の表現を進化させようとした集団です。
また、本作品の画中画として描かれているポール・セザンヌの作品「果物入れ、グラス、リンゴ」は、ポール・ゴーギャンが所有していた作品です。
セザンヌ礼賛
「セザンヌ礼賛」
(1900年)
セザンヌの作品「果物入れ、グラス、リンゴ」を囲み画家や批評家たちが作品について議論、礼賛している様子が描かれています。
場所は、当時フランスで有名だったアンブロワーズ・ヴォラールという画商の店内です。
「果物入れ、グラス、リンゴ」
(1878-1880年)
画中画のセザンヌの作品は、ポール・ゴーギャンが愛蔵していた作品でゴーギャン自身も自身の作品の中に描いています。
「セザンヌの静物画の前のマリ・デリアン」
(1890年)
「セザンヌ礼賛」の作品中には、当時有名だった画商のお店でもあり議論する人々の後ろにはゴーギャンやルノワールの作品と思われる作品も描かれています。
作品中の人物
一番左の年配の男性は象徴主義の代表的画家オディロン・ルドンです。
ルドンに話しかけている中央の男性はナビ派の創始者の一人ポール・セリュジエ。
イーゼルの背後で一番背の高い男性がお店のオーナーで画商のアンブロワーズ・ヴォラール。
その右隣りが作者のモーリス・ドニ。一番右に描かれている女性はドニの妻のマルタ・ドニです。
画家たちから尊敬され、一番の年長者のルドンは少し他の人物から離れて描かれています。また、ドニはルドンをとても尊敬していたそうです。
当時、セザンヌはまだ、一般的には知られていなかったのですが、若い画家たちからは既に注目されていたことが本作品からわかります。
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