ルノワールが当時まだ恋人だった妻アリーヌ・シャリゴを描いた作品です。
ルノワールは妻のアリーヌ・シャリゴをモデルに複数作品を制作していますが、本作品が最初の作品と言われています。作品は、「ルノワール夫人の肖像」とも呼ばれることがあります。
本作品は1885年頃制作されたと考えられており、二人の間に息子ピエールが誕生した夏ごろに制作されたと考えられています。
ルノワールは生涯この作品を手放すことがありませんでした。
作品:アリーヌ・シャリゴの肖像(ルノワール夫人の肖像)
「アリーヌ・シャリゴの肖像」
(1885年頃)
頬を少し紅潮させ、麦わら帽子と素朴な装いで少しふくよかなこの肖像画はルノワールの恋人アリーヌ・シャリゴへの愛情を感じさせられる作品と言われています。
実は当時、ルノワールは労働者地区で針子として働いていた田舎娘のアリーヌ・シャリゴと美貌と都会的で洗練されたシュザンヌ・ヴァラドンとの間で心が揺れ動いていました。
当時のルノワールの心は代表作で3部作の「ブージヴァルのダンス」「都会のダンス」「田舎のダンス」で描かれています。
作品:授乳する母親
「アリーヌ・シャリゴの肖像」を制作した翌年、ルノワールは「授乳する母親」という作品を制作しました。
アリーヌ・シャリゴが息子ピエールに母乳を与えるところを描いています。
「授乳する母親」
(1886年)
「アリーヌ・シャリゴの肖像」を制作した1885年以降は、実生活や恋愛などの表現が少なくなり、都会風から田舎風な表現へと作風が変化したとされています。
また、アリーヌ・シャリゴのふくよかさは、その後のルノワールが作品に描く裸体の女性の姿に繋がっているとも思えます。
コメント