レオナルド・ダ・ヴィンチ 「聖アンナと聖母子」

絵画

レオナルド・ダ・ヴィンチの晩年の作品で未完の傑作と言われています。

本作品は、祭壇画として注文を受けたのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチはこの作品を終生手放すことなく加筆を続けました。

登場人物は作品に安定感をもたせる三角形の形で配置されていますが、聖母マリアが母親の聖アンナの膝のうえに腰をかけている珍しい構図となっています。

人物の柔らかい表現やスフマート技法、空気遠近法などレオナルド・ダ・ヴィンチの特徴となる技法が詰め込まれた作品となっており、未完の作品ですが多くの画家が模写したと言われています。

聖アンナと聖母子

聖母マリアが子羊を手荒に扱うイエス・キリストをたしなむように手を伸ばしているのを聖アンナが優しく見守る様子を描いています。

子羊は、将来イエス・キリストが受ける受難の象徴とされています。

聖アンナと聖母子
1508年頃

1508年頃
レオナルド・ダ・ヴィンチ
「聖アンナと聖母子」
ルーヴル美術館蔵(フランス パリ)

3人の登場人物は三角形の中に配置されているうえ、三人の目線は同一の直線上に配置されており、作品にまとまりを与えています。

女性の膝の上に女性が腰かける表現は非常に珍しく、何かしらの意図があったと思われますがその意図は判明していません。

輪郭を描かないスフマート技法と遠くの景色がかすむ空気遠近法がよくわかる作品となっています。

聖アンナの右足など、まだ作品が未完成だとわかります。

2008年に絵の具層の下にスケッチが描かれていたことが発見されています。

スケッチには、1505年にレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「アンギアーリの戦い」に登場するものと酷似する馬の頭部や本作品の子羊やイエス・キリストに似たスケッチなどが発見されています。

聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ

レオナルドは貼り合わせた8枚の紙に木炭と白黒のチョークで「聖アンナと聖母子」と似たような構図で描いたドローイングをのこしています。

聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ
1499-1500年頃または1506-1508年頃

1499-1500年頃または1506-1508年頃
レオナルド・ダ・ヴィンチ
「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」
ナショナル・ギャラリー(イギリス ロンドン)

このドローイングでは子羊の代わりに幼児の聖ヨハネが描かれ、イエス・キリストは天に指を指しています。

聖アンナと聖母子」の習作として描かれたとの考えもありますが、現在のところはっきりとは判明されていません。

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