19世紀のフランス人女性画家ローザ・ボヌールは1855年に発表した本作品「馬の市」で国際的評価を受け、女性で初めての勲章も授かっています。
また、当時はまだ女性の地位が低く見なされていた時代でしたが、生涯女性の解放を主張し初期フェミニストの代表的人物です。
また、ローザの作品の主題は農村やそこでの動物たちで、パリ郊外に城を購入しそこでライオンなど多くの動物を飼育し、その姿を描いています。
作品 馬の市
「馬の市」はローザの最も有名な作品で、彼女に国際的な名声を彼女に与えた作品です。
「馬の市」
(1853年)
幅5メートルに及ぶ大作で、馬の市の馬たちが躍動感ある描写で描かれています。
ローザは、馬の市の様子をスケッチするため1年半の間、男装して週2回開催されていた市を訪ねていました。
まだ、女性が馬の市に参加するなど考えられない時代で、ローザは男装して参加していたようです。
また、男装することに対して警察からの許可書を得て、馬の市に参加していました。
中央の馬に乗っている青い服の男性は男装をしたローザの自画像とも言われています。
帽子のつばの影で表情はぼやかされていますが、周りの馬が暴れている一方で、馬上で落ち着いた様子でいます。
作品の前面に描かれている白馬の尻尾が紐で結ばれて丸くなっています。
これは、馬が妊娠しているかどうか調べる際に腕を馬の肛門から入れて確かめなければならず、尻尾を振り回さないようにしているためです。
本作品で国際的に高い評価を受けたローザは、イギリスのヴィクトリア女王やフランスのナポレオン3世の皇后ウジェニー・ド・モンティジョとも謁見しています。
勲章も皇后ウジェニー・ド・モンティジョがローザを訪問し授与しています。
ローザは、同時期に活躍した大女優でアルフォンス・ミュシャのモデルを務めたサル・ベルナールとともに女性の解放を主張した初期のフェミニストの一人としても有名です。
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