アルフレッド・シスレー 「アルジャントゥイユの歩道橋」

絵画

パリから北西に10キロ離れたセーヌ川沿いにあるアルジャントゥイユは、19世紀に入りパリと鉄道で結ばれたことからパリから多くの市民が余暇に訪れました。

当時、近代化とともに中産階級が増えはじめており、市民が余暇を楽しむ余裕も出始めていました。

若い印象派の画家たちの多くもアルジャントゥイユを訪れ、セーヌ川の描写や人々の様子を描いた作品を制作しています。

本作品「アルジャントゥイユの歩道橋」でシスレーは、セーヌ川に渡る歩道橋を画面を対角線上に配置する大胆な構図で描いています。

作品 アルジャントゥイユの歩道橋

シスレーは、画面上に消失点を置いて、そこから歩道橋を対角線上に右下に伸びるように描いています。

アルジャントゥイユの歩道橋
1872年

1872年
アルフレッド・シスレー
「アルジャントゥイユの歩道橋」
オルセー美術館蔵(フランス パリ)

画面上に消失点を配置し、遠近感を強調する方法は、日本の浮世絵の影響としている説もあります。

シスレーは終生、印象派の画風で風景画を描き続けた画家で、本作品でも歩道橋の人々の描写には力点は置かれていないようです。

本作品でも印象派的な水面や空の描写は見られますが、筆跡を利用して大まかな描写に留めている印象を受けます。

アルジャントゥイユは、他の多くの印象派の画家に描かれており、本作品の歩道橋はクロード・モネの作品「アルジャントゥイユの橋」にも登場しています。

アルジャントゥイユの橋」(クロード・モネ
1876年

1876年
クロード・モネ
「アルジャントゥイユの橋」
ルーヴル美術館蔵(フランス パリ)

モネの水面と空の描写と比較すると、シスレーの描写はとても対照的な印象を受けます。また、明るいモネの配色と落ち着いたシスレーの配色も対照的です。

シスレーは、本作品「アルジャントゥイユの歩道橋」では、強い遠近感を与える構図で、作品に動きがある印象を与え、当時近代化により環境や生活が早く変化していく様子を描くことを試みたのかもしれません。

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