17世紀 オランダ黄金期の画家でレンブラント・ファン・レインの門弟としてレンブラントの色彩や明暗の使い方を学んだヘラルド・ドウの作品「読書をする老婦人」です。
ヘラルド・ドウがレンブラントの門弟となったのは14-15歳で、当時レンブラントは21-22歳と7歳だけ違うだけでした。
また、へラウド・ドウの初期の作品はレンブラントの影響が強く、本作品「読書をする老婦人」は20世紀にはいるまでレンブラントが自身の母親を描いたものと誤認されるほどでした。
作品 読書をする老婦人
本作品はハラルド・ドウがレンブラントの工房から独立してからすぐに制作した作品の一つと考えられます。
明暗対比の強い背景に、非常に緻密に老婦人や本を描いており、レンブラントの影響が伺えます。
「読書をする老婦人」
(1631-1632年)
老婦人の手の皺や内容が分かるほどの本の描写など対象物が非常に詳細に描写されています。
老婦人が読んでいる本は聖書で、内容は「本当に良い行いをしたいと思っている者は、出来る限りの物を貧者に与えなければならない」と記載されている箇所です。
一方、聖書を読んでいる老婦人の服装は豪華で、聖書の内容とは対照的です。
年老いてもなお所有物に執着がある老婦人と聖書の内容を意図的に対比していると思われます。
読書に集中する老婦人の顔を中心に外に向かって暗くしていますが、暗い部分でも右下が一番暗くなるように左上などから暗さのコントラストもつけられています。
このコントラストによって背景の暗さの強さをやわらげ、より老婦人を印象付ける効果を与えていると思われます。
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