サージェント 「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」

絵画

19世紀から20世紀にかけて活躍したアメリカ人画家ジョン・シンガー・サージェントの代表作「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」です。

不思議な作品名はオペラの曲の一節からとられています。

サージェントはアメリカ人ながらイタリア フィレンツェでアメリカ人医師の子として生まれ主にパリやロンドンで活動しました。

もう一つの代表作「マダムX」を発表したことによるスキャンダルでパリからロンドンに移り、その際に本作品を制作しています。

本作品で描かれている提灯は当時、日本から輸出されたもので、また作品中にちりばめられているユリも日本から球根が輸出されていたヤマユリで、当時の美術界で流行っていたジャポニズムの影響を受けた作品でもあります。

自画像」(ジョン・シンガー・サージェント

1906年
ジョン・シンガー・サージェント
「自画像」
ウフィツィ美術館蔵(イタリア フィレンツェ)

作品 カーネーション、リリー、リリー、ローズ

本作品の題名「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」はオペラの有名な曲の一節からとっています。

「私の女神フローラがこちらに来るのを見ましたか?」という問いに「彼女の頭には花冠、頭につけているのはカーネーション、リリー、リリー、ローズ」と答えるオペラの一節からとられています。

カーネーション、リリー、リリー、ローズ
1885-1886年)

1885-1886年
ジョン・シンガー・サージェント
「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」
テート・ブリテン蔵(イギリス ロンドン)

元々長方形のキャンパスだったのですが、左側を切り取りほぼ正方形に近い形に変更して作品を制作しています。

作品には水平線が描かれておらず、鑑賞者が草花の中にいる少女たちと同じ空間にいるような印象を受ける効果を与えています。

少女たちの頭上で咲いている背の高いユリは、日本のユリでヤマユリという品種です。

ユリの他にも下から順に黄色のカーネーションとピンクのバラが描かれ幻想的な印象を鑑賞者に与えています。

黄色いカーネーションは、作品のアクセントとされています。

また、少女たちが手にもつ提灯をはじめ、作品中には多くの提灯が描かれ、当時の美術界で流行ったジャポニズムの影響を受けた作品となっています。

作品のモデルはサージェントの友人の娘たちですが、当初予定した別の友人の娘から急遽変更しています。

当初予定していた娘の髪の色が暗めの色で、明るい色をイメージしていたサージェントはブロンドの二人に変更したようです。

左の少女が11歳でドリー、右の少女が7歳でポリーという子です。

サージェントは本作品を夕闇の光のなかで描きたいと考え、実際に屋外で制作したのですが、夕闇の時間のみの制作となったため完成まで2年ほど費やしています。

幻想的な紫の夕闇の描写は、実際に屋外で描いた情景で、実際にこの色の夕闇を見ることができる時間帯だけ、屋外で描いた情景です。

2年の歳月のうちユリやバラは枯れてしまったため、別の場所で育てたものや人口花に置き換えられ制作を続けたようです。

Bitly

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