風景画は、絵画のジャンルのなかでも一番低く位置付けられていましたが、17世紀以降になると風景画と歴史画を両立させたような作品が登場しました。
このジャンルは、「理想的風景画」と呼ばれ、クロード・ロランにより完成され、風景画流行のきっかけとなりました。
作品:シバの女王の乗船
この作品は、聖書の「シバの女王がソロモン王の聡明さを確かめるため、その知恵を試そうと難問をいくつも出すのですが、王はことごとく答えて、女王を感嘆させた」という話しをテーマにしています。
通常、この物語を絵画にする際は、女王が王のもとに座している場面が描かれます。
「ソロモン王とシバの女王」
(1540年-1545年)
「ソロモン王とシバの女王」
(1620年頃)
クロード・ロランは、女王が港から旅立つという場面を選び、登場人物より水辺の美しい風景をメインに描きました。
「シバの女王の乗船」
(1648年)
クロード・ロランは、風景画の地位向上に大きく貢献した画家とされています。
シバの女王はどこ?
画面右側にいる侍女をひきつれ、赤い衣をまっとっている女性が主役のシバの女王です。
主役の女王を小さく描き、早朝の光や光を反射して輝く海に重点がおかれているのが分かります。
他の作品(一部)
「朝の港」
(1635年-1645年)
「ローマの田舎」
(1639年)
「タルソスに上陸するクレオパトラ」
(1642年-1643年)
クロード・ロランは、日の出から日没まで刻々とかわりゆく光を観察、研究を重ねていたと言われています。
東京の国立西洋美術館に1点、所蔵されています。
「踊るサテュロスとニンフのいる風景」
(1646年)
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