ジョルジュ・ド・ラ・トゥールは、20世紀初頭に再発見された画家です。
作品自体は評価されていましたが、別の画家の作品と思われていました。
今では、17世紀のフランスを代表する画家の一人となりましたが、残された作品数は少なく、生涯についても詳しくは分かっていない画家です。
ローソクの炎
当時の西洋絵画では、ローソクの炎は信仰の象徴として描かれていました。
ラ・トゥールは、ローソクの炎を暗闇にいる人物を浮かび上がらせる光として使い、明暗の表現をしました。
ラ・トゥールはこの明暗の表現を使い、聖書から題材をとった作品を多く制作してています。
「聖ヨセフ」
(1640年頃)
(右は、イエス、左はマリアと結婚したヨセフ)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
「聖ヨセフ」
ルーヴル美術館蔵(フランス パリ)
ラ・トゥールはロウソクの炎を聖なる光のように描き、明と暗の対比を行っています。

少年イエスのあどけなさが残る小さな手が、ロウソクの炎で赤く透けて見えます。
「悔い改めるマグダラのマリア」
(1635-1640年)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
「悔い改めるマグダラのマリア」
ナショナル・ギャラリー(イギリス ロンドン)
ラ・トゥールはロウソクを灯し、瞑想するマグダラのマリアの絵を多く残しています。

質素な身なりの女性の顔をロウソクの炎がてらしています。
女性の表情、ブラウスの皺まで丁寧に描かれています。
明暗の表現は、カラヴァッジョの影響を受けたとされていますが、静寂で神秘的な表現はラ・トゥール独自のものとされています。
だましの絵
ラ・トゥールは、ローソクの炎などで明暗対比した宗教画のほかに、風景画も描いています。
ラ・トゥールの風景画には「だまし」を題材にした作品があります。
「女占い師」
(1630年)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
「女占い師」
メトロポリタン美術館蔵(アメリア ニューヨーク)
コインを差し出している占い師に気を取られている男性の貴金属を他の女性が盗もうとしています。
「いかさま師」
(1635年頃)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
「いかさま師」
ルーヴル美術館蔵(フランス パリ)
右側の男性以外はぐるで、裕福そうな男性を騙そうとしています。

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