ジョン・エヴァレット・ミレイ マリアナ

絵画

19世紀のイギリスで起こっていた、ラファエロ前派という美術改革運動の主要メンバーのミレイの作品の「マリアナ

ラファエロ前派とは、ルネサンスの巨匠ラファエロ・サンティの時代に確立されたアカデミック美術に対して、ラファエロ以前の中世バロック美術に戻ろうという運動でした。

その為、ミレイの作品は詳細描写と混じりけの無い鮮やかな色彩が特徴的です。

作品:マリアナ

マリアナ
1851年

1851年
ジョン・エヴァレット・ミレー
「マリアナ」
テート・ブリテン(イギリス ロンドン)

マリアナとはシャークスピアの「尺には尺を」という物語に登場する人物です。

持参金が船の難破で海に沈んでしまい、婚約者に捨てられるという女性です。

ラファエロ以前のブロック美術への回帰を目指したラファエロ前派の作品は、寓意的な表現を作品に織り込みました。

また、細密な描写は、容易に鑑賞者にその作品の題材となった物語の一場面を容易に想起させました。

長い時間の経過を表現:落葉

床には、散らばる落葉が描かれています。

マリアナは、婚約者に捨てられ、堀で囲まれた屋敷の閉じ込められてしまうのです。

床に散らばる枯れ葉は、マリアナが耐え忍んだ辛抱と時間の経過を表しています。

長い時間の経過を表現:刺繍

精密な柄の刺繍はほとんど完成しています。大きく精密な柄の刺繍を一人で行っていたことが伺え、完成が近いことから、長い時間が経過したことが見て取れます。

長い時間の経過を表現:背中を伸ばす姿

マリアナは、腰に手をあて体を伸ばさないと、刺繍(刺繍)に戻れないほど、作業をしていたことが分かります。

明暗対比と寒色と暖色の対比

ミレイは、この作品では、細密な描写とともに、明暗の対比、寒色と暖色の対比によりバッロク美術への回帰を試みています。

作品の左側はあざやかな色合いで描かれていますが、右側は、暗くなっています。

マリアナのドレスの青、葉と刺繍の緑といった寒色と椅子のオレンジ色、ステンドグラスの赤色といった暖色を対比しています。

本作品は、ゴシック美術の他、北方ルネッサンスのヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻像」に大きな影響を受けているとも言われています。

Bitly

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