ティントレット 「奴隷の奇跡(聖マルコの奇跡)」

絵画

ルネサンス期のヴェネチア派の画家ティントレットの作品で、彼の作品の中で最も有名な作品とされています。

ティントレットはヴェネチア派の代表的画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオの弟子で、ティツィアーノの鮮やかで色彩豊かな色使いを継承しています。

さらにティツィアーノの色彩にミケランジェロの肉体描写を結び付けた表現を行い、鑑賞者に人物の動きを印象付ける描写をおこなっています。

ティントレットの「自画像

1588年頃
「自画像」
ルーヴル美術館蔵
(フランス パリ)

作品 奴隷の奇跡

本作品は、キリスト教の聖人の偉業や伝説をまとめた「黄金伝説」の聖マルコ伝の話しを描写した作品です。

敬虔なキリスト教徒の奴隷が主人の許しを得ず、聖マルコの墓を詣でたため死刑を宣告され殺されてしまうところに聖マルコが現れ奴隷を助ける場面を描いた作品です。

奴隷の奇跡(聖マルコの奇跡)
1548年

1548年
「奴隷の奇跡(聖マルコの奇跡)」
アカデミア美術館蔵(イタリア ヴェネチア)

聖マルコが天から現れる様子が劇的に描かれています。

聖マルコはヴェネチアの守護聖人で、生涯のほとんどをヴェネチアで過ごしたティントレットも崇拝していたと思われます。

作品の中央から少し左側にいる男性はティントレットの自画像ではないかとの説がありますが、確定はされていません。

短縮法

本作品では、遠近法の一種で建物などの直線的な遠近表現ではなく、人体など複雑なもので遠近を表現する技法である短縮法が用いられています。

横たわる人体の描写をよく見ると、胴体が長く描かれているのが分かります。

本作品は、鮮やかな色彩と短縮法で描いた人体、非現実的場面を写実的に描くなど弟子の立場から師匠のティツィアーノへも影響を与えたと言われています。

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