19世紀ロマン主義の代表的画家ウジェーヌ・ドラクロワの作品「墓場の少女」です。
この作品は、後にフランス政府買上作品となった「キオス島の虐殺」の習作的な作品として制作されたと言われていますが、完成度が高く、当時から高い評価をうけた作品です。
また、ドラクロワの作品には珍しく一人の人物を画面に大きく描いた構図で、ロマン主義というよりは写実主義的な作品となっています。
本作品のモデルは、実際に墓地にいた少女をモデルにして描いた言われています。
作品 墓場の少女
ギリシャ独立戦争時に起きた「キオス島の虐殺」を描くことを計画していたドラクロワは、習作的な意味合いで本作品「墓場の少女」を制作しました。
その為、暗い墓場で一人、途方に暮れたような少女を題材にしています。
「墓場の少女」
(1824年)
本作品で、一番に視線が行くのが、涙が溢れそうな目で空をみる少女の顔で、その表情は悲しみに満ちているような印象です。
また、首から肩にかけて顔とは対照的に影が強く描かれており、より少女の悲しみを強調しているようです。
少女の手も意識的に弱々しく描写しているように思えます。
本作品は、後の「キオス島の虐殺」の制作に向けた作品であるため、暗いイメージとなる作品となっていますが、影の強調や少女の肩から大きくずれた衣服の表現による悲しみの表現の試みなど当時から評価が高い作品です。
「キオス島の虐殺」
(1823-1824年)
「キオス島の虐殺」には、本作品の少女のようなポーズや表情をしている人物がみられます。
コメント