19世紀 ポスト印象派の画家とされるフィンセント・ファン・ゴッホの晩年の作品「オーヴェルの教会」です。
ゴッホは、故郷のオランダを出た後、パリや南仏アルルなどで過ごしましたが、最後はパリから北西に30kmほど離れた農村のオーヴェル=シュル=オワーズという所で療養のため過ごします。
ゴッホが描いた肖像画「医師ガシェの肖像」が有名なガシェ医師に治療を受けるためオーヴェルで過ごしますが、2ヵ月後、自ら命を絶ってしまったとされています。
本作品「オーヴェルの教会」は、ゴッホが2ヵ月間過ごしたオーヴェルで制作した作品の一つで、オーヴェルに12世紀ごろから建つ教会を描いています。
作品 オーヴェルの教会
ゴッホは、自身の最後の地となるオーヴェルで2ヵ月間で80点ほどの作品を制作しており、本作品はそのうちの一作品です。
「オーヴェルの教会」
(1890年)
本作品では、教会の上の空が暗い青色と濃い青で描かれた空気の流れの様な渦が描かれており、重く暗い印象を与えています。
一方、画面下では明るい緑や黄色で陽が当たっている様子が描かれており対照的です。
教会自体は比較的実物に忠実に描かれていますが、外観は歪んで描かれており当時のゴッホの精神状況を投影しているようにも思えます。
また、教会の前で別れる二つの道の描写は、ゴッホの晩年の代表作でもある「カラスのいる麦畑」でも使用されるモチーフで、筆遣いなどは、麦畑の描写と同様の筆跡となっています。
「カラスのいる麦畑」
(1890年)
また、空の描写なども類似しており、最晩年のゴッホの精神状況が表現されている二作なのかもしれません。
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