17世紀フランス黄金期の画家でレンブラントとほぼ同時代に活躍した画家で、後世の画家にも大きな影響を与えた大画家です。
当時、流行っていた集団肖像画のほか、人々が笑った表情の肖像画を多く制作しており「笑いの画家」とも呼ばれています。
ハルスの作品は多くの画家に模写されているうえ、本作品「マッレ・バッベ」は写実主義を推進したギュスターヴ・クールベに賞賛されています。
作品 マッレ・バッベ
本作品「マッレ・バッベ」のモデルはハルスの空想の人物で実在しないと思われていたようですが、現在は、実在の人物であることが確定しています。
「マッレ」とは、オランダ語で「頭のおかしな」という意味で、モデルは当時、病院に収容されていた精神を病んだ女性であることが分かっています。
ハルスの息子も同じ病院に収容されていたようです。
「マッレ・バッベ」
(1633‐1635年)
比較的粗い筆跡で描かれていますが、画面外に笑顔を向けるマッレ・バッベの表情はとても生き生きと描かれており、特に光の強弱による描写が優れていると言われています。
服や帽子、首周りの飾りなど粗い筆跡で人物の動きをイメージさせる効果も与えています。
当初、本作品は「ハールレムの魔女」と呼ばれ、女性の方に乗るフクロウは、闇の象徴として描かれていると考えられていました。
しかし、現在では、フクロウの他の意味である酒に酔った状態の酩酊を意味するものと考えられます。
女性が右手に持っているのはビールを注ぐ容器と思われ、ハルスの他の作品からも、居酒屋のような場所での女性を描いたと考えられます。
人物やフクロウの描写に比べ、ビールを注ぐ容器の方は詳細に描かれ、室内を反射している様子も描かれています。
動きのある生物の動きのない静物を対比しているようにも思えます。
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