印象派の巨匠クロード・モネが自身の妻カミーユ・モネをモデルに制作した作品「赤い頭巾、モネ夫人の肖像」です。
「窓に立つカミーユ・モネ」とも呼ばれています。
モネが印象派の名前の由来ともなる「印象 日の出」を発表し、あまり評価を得ることが出来なかった翌年に制作した作品です。
モネは妻カミーユ・モネをモデルに複数の作品を制作していますが、本作品はモネが生涯手放さなかった作品として有名です。
カミーユの赤い頭巾と顔に鑑賞者の視線が向かうような色彩と空間描写がされている作品です。
作品 赤い頭巾、モネ夫人の肖像
本作品でモネは窓枠と窓ガラスで外の世界と内の世界を完全に分けた空間描写をしています。
「赤い頭巾、モネ夫人の肖像」
(1873年)
室内と室外の区切りが窓枠と床ではっきりと描かれ、床の茶色と外の雪の白が温度差を表現しているような印象も受けます。
モネは作品の登場人物の顔を細かくことはなく、本作品でも詳細には描かれていませんがカミーユが何か憂いた表情で室内に視線を向けているのがわかります。
全体的に暗い色彩で描かれた本作品でカミーユの赤い頭巾がとても目立ち、自然に鑑賞者の視線がカミーユの憂いた顔に向かいます。
カミーユが室内にいる人物に何かを訴えているような印象を受けます。
モネは作品のなかで窓枠で室内と室外を描くことで空間を明確に区別し、さらに窓のレースのカーテンで三角形を作り、室外の様子が別の世界のような印象を与えていると思われます。
モネがカミーユをモデルにした作品は比較的明るく、幸せそうな家族を描いた作品が多いのですが、本作品は別の印象を受ける作品です。
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