16世紀ルネサンス盛期の画家でレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティと共に3大巨匠とされるラファエロ・サンティの作品「エステルハージの聖母」です。
本作品は未完の作品で幼児イエス・キリストや聖ヨハネなどは下絵がのこっている状態です。
ラファエロは聖母子の画家と言われるほど多くの聖母子像を描いています。
また、ルネサンス3大巨匠のなかで最年少であったラファエロは他の二人の作品にも多くを学び、自身の作品にも取り入れています。
本作品にもレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロの影響が見られると言われています。
作品 エステルハージの聖母
エステルハージとは、ハンガリーの貴族エステルハージ家が本作品をコレクションしていたことからつけられたものです。
現在は、ハンガリーのブタベスト国立西洋美術館に所蔵されています。本作品の習作がフィレンツェのウフィツィ美術館に所蔵されています。
「エステルハージの聖母」
(1508年)
岩に座るイエス・キリストと紙片を読む聖ヨハネが下絵の状態であることがわかります。
ラファエロの他の聖母像と同じように、聖母マリアは赤と青の服装で描かれていますが、他の作品に比べると表情の表現などに印象が薄く、聖母マリアの表情の描写も未完なのかもしれません。
聖母マリアは、岩からイエス・キリストが落ちないように支えながら、体をねじるように聖ヨハネに視線を送っています。
登場人物の3人で綺麗な三角形を構成しており、この三角形の構成はラファエロがレオナルド・ダ・ヴィンチから学んだ構成です。
また、紙片を読む聖ヨハネの姿勢は、ミケランジェロの聖家族のイエス・キリストの姿勢から着想を得ていると言われています。
「聖家族」(ミケランジェロ・ブオナローティ)
(1507年頃)
本作品の習作がウフィツィ美術館に所蔵されており、ほぼ本作品と同じ構成となっていますが、背景の建物を描かれておらず、後から追加されたことが分かります。
本作品「エステルハージの聖母」は1983年に他の作品と共に盗難にあっておりますが、翌年1984年に発見、回収され美術館に返還されています。
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