17世紀のオランダ黄金期の代表的画家レンブラント・ファン・レインの晩年の傑作とされる「布地商組合の見本調査官たち」です。
経済的に発展を遂げたオランダでは、資力をもちはじめた市民たちが作品の発注元となっており組合などが構成員の肖像画を依頼していました。
レンブラントの代表作「夜警」も同様の背景がある作品で、集団肖像画と言われています。
本作品「布地商組合の見本調査官たち」は、レンブラントが布地商組合から依頼を受けて制作した作品で、組合の建物に飾られるために制作された作品です。
実際に組合の建物の壁に100年以上掛けられていました。
作品 布地商組合の見本調査官たち
本作品は、組合の建物の壁の高い位置に掛けられる予定であったため、鑑賞者が作品をしたから見上げることが考慮されて制作されています。
「布地商組合の見本調査官たち」
(1662年)
肖像画として制作されていますが、それぞれの人物に動きが付けられており、布の品質を評価しているところに鑑賞者が突然入ってきて、組合員達が反応しているように見えます。
一人は、椅子から立ち上がろうとしており、また別の一人は手袋を持って腰を上げようとしている様子です。
中央の二人は見本帳を見て、説明をしようとしているようです。
集団肖像画は、描かれる人物がお金を出し合って制作を依頼するため、同じぐらいの金額をそれぞれが出している場合は、公平に画面上に描かなければなりません。
本作品も画面上で同じ大きさで、描かれていることからそれぞれが同じぐらいの金額をだしていると思われます。
画面中央には、帽子をかぶらず、衣装も他の人物と違う男性が描かれています。
彼は、執事で組合員たちとは違うため、組合員の制服をきていません。作品の中央に執事を描くことで、組合員の誰かを作品中央に描いて、問題とされることを避けたのかもしれません。
自身の代表作「夜警」は、多くの人物を登場させた集団肖像画ですが、目立たない人物が多くクレームを受けていたようです。
「夜警」
(1624年)
立ち上がろうとしている人物の姿勢は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の左端に描かれた人物描写から着想を得ていると言われています。
「最後の晩餐」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
(1495‐1498年)
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