オランダ バロック絵画の巨匠レンブラント・ファン・レインが描いた宗教画「エマオの晩餐」です。
エマオの晩餐は多くの画家が題材とした新約聖書の中の話の一場面で、クレオパというイエス・キリストの弟子がエマオという町に向かう途中、復活したイエス・キリストと出会う話しです。
両作品は「エマオのキリスト」と呼ばれることもあります。
レンブラントはこの同じ題材の作品を2点制作しています。
特に2作目に制作された「エマオの晩餐」は、イタリアのカラヴァッジョの同名作品「エマオの晩餐」からの影響がみられます。
1作目 エマオの晩餐
レンブラントのキャリア初期に描いた作品で、明暗対比を強調した作品となっています。
「エマオの晩餐」
(1629年)
テーブルの奥に座っている男性が弟子のクレオパです。道中で会って夕食を共にした男性がイエス・キリストだと分かり驚いた表情をしています。
手前の男性は影の中におり、表情は判別できませんが、ウェーブがかかった髪と髭で男性がイエス・キリストであることが分かります。
影となってイエス・キリストの様子は分かりませんが、背後の光は光輪のように一番明るく描かれています。
レンブラントは作品の左側半分を暗闇にして、奥で料理の支度をする様子だけほんのりと明るくして暗闇を強調しているようです。
右側の明るく照らされた描写ではクレオパとイエス・キリストの姿勢を対角線上に描き、左右が全く違う描写となる作品にバランスを与えていると思われます。
2作目 エマオの晩餐
2作目は1作目の18年後の1648年に制作され、1作目と違い複数人が作品に登場しています。
「エマオの晩餐」
(1648年)
本作品の構図はバロック様式の先駆けのカラヴァッジョの同名作品の影響を受けています。
カラヴァッジョ作品の「エマオの晩餐」も現在、2点確認されています。
「エマオの晩餐」(カラヴァッジョ作)
(1601年)
「エマオの晩餐」(カラヴァッジョ作)
(1606年)
中央のイエス・キリストの後ろには光輪が描れています。
この正面を向くイエス・キリストの描写はレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のイエス・キリストの描写の影響を受けているとの説も言われています。
「最後の晩餐」
(1495-1498年)
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