16世紀 ルネサンスから徐々にマニエリスム様式へと変化する時期に活躍したロッソ・フィオレンティーノの作品「リュートを弾く天使」です。
ロッソ・フィオレンティーノは、戦乱のためローマからフランスへ移り活躍し、マニエリスムをフランスへ伝えたとも言われてます。
「奏楽の天使」「リュートを奏でる天使」など似たような名前で呼ばれていることがあります。
17世紀ぐらいから別の画家の作品と認識され1825年以降にロッソ・フィオレンティーノの作品と再認識された作品です。
また、2000年の修復の際に、単独の作品と思われてきた本作品が大きな作品の一部であったことが判明しています。
作品 リュートを弾く天使
現状、本作品は暗闇のなかリュートを弾こうとしている天使が描かれていますが、修復の際に黒く塗りつぶされている背景の下地に階段とそこに座る天使が描かれた跡があったことが確認されています。
「リュートを弾く天使」
(1521年)
おそらくマリアとイエス・キリストが描かれ、その玉座の足元に描かれていたと推測されています。
リュートや天使の手の描写などが、あまり細かく描かれていないのも大きな作品の一部だったからかもしれません。
天使の描写はとても愛らしく、頬や鼻の先に薄く赤を配色、赤毛のくせのある髪型で描かれとても温かい印象を受けます。
ロッソ・フィオレンティーノも赤毛だったようです。
暖色で描かれた天使の頭部から、濃い赤色の翼が伸び、翼の外側は寒色の白色で描き色彩のグラデーションにより、作品の温かみがより際立っているように思えます。
作品の左から天使とリュートに光が当たっていますが、光の当たらない方の翼も薄い白色で描写しつつも上部から下部へ徐々に色をぼやかして、天使にあたる光の様子を印象付けています。
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