19世紀のフランス絵画の写実主義運動の代表的画家、ギュスターヴ・クールベの作品「画家のアトリエ」です。
本作品は、クールベの画家人生を比喩したものとされ、中央にクールベ自身が描かれ、画面の右側にクールベの賞賛者、友人などが描かれています。
画面左側に、フランスの一般的な人々やクールベへの批判者などが描かれています。
作品には、「我が芸術的生活の七年に及ぶ一時期を定義する現実的寓意画」という副題がついています。
作品の中央部分
「画家のアトリエ」
(1855年)
作品の中央部分にヌードモデルを全く無視して風景画を制作しているクールベ自身が描かれています。
ヌードモデルは、クールベが批判していた当時のアカデミック美術を表現していると言われます。
作品とクールベを見つめる少年は、純粋な目で世界を見ていることを表現しているとされます。
作品の右側
作品の右側には、クールベの支援者や著名な美術コレクター、友人などが描かれています。
クールベは本作品を自身の実家のあるフランス オルナンで制作しており、パリにいる彼らを過去の肖像画や写真をもとに描いたと言われています。
作品の左側
作品の左側には、司祭や売春婦、商人などが描かれていますが、椅子に座り犬を連れている髭の男性はナポレオン3世ではないかと推測されています。
クールベ本人は、この男性について何も言及もしていませんが、クールベは政府に批判的な立場から、皇帝を公的に侮辱した表現を描いた可能性があると言われています。
背景の広い壁
当初、クールベは、背景の壁に自身の作品の模写を多く描く構想でした。
しかし、制作時間が無く、赤茶色の下地のような色で塗りつぶすこととなってしまいました。
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