18世紀フランスのロココ期の代表的画家フランソワ・ブーシェの作品「化粧」です。
「化粧」はブーシェの友人でもありパトロンでもあったスウェーデン大使から依頼をうけた四連作の内の一作です。
スウェーデン大使からの依頼は、上流階級の婦人の一日を連作で制作するといもので、四連作のうち現存んしているのは本作品と「朝」という作品でのみです。
また、当時は中国や日本などの美術品がヨーロッパに入ってきた時期で、東洋の陶磁器や屏風が好まれ、ブーシェは作品として東洋をイメージした作品も描いています。
本作品では花鳥図が描かれた屏風が描かれています。
作品 化粧
優雅で甘美的な描写のロココ期の作品らしく、上流階級の女性がストッキングをあげ、ガーターを付けている様子が描かれています。
「化粧」
(1742年)
貴族階級の女性が身支度していますが、足元には猫が描かれています。
猫は”誘惑”や”欲望”といった意味があり、この女性は何かを望んで身支度していると暗示しています。
女性は付けほくろをしていますが、当時はとても流行っていたようです。
また、女性二人の奥には東洋風の屏風が描かれています。
こちらも当時流行していたシノワズリ(中国趣味)を反映して、作品に描きこんでいます。
ブーシェは当時のシノワズリの第一人者的画家で、中国をイメージした作品も多く制作しています。
「中国庭園の眺め」
(1742年)
部屋は散らかった様子で、女性は衣服やアクセサリーにいろいろ悩んだのかもしれません。
女中は帽子を進めている様子に見えます。
ちらかった様子の部屋の小物まで詳細に描かれており、ブーシェの技術の高さを示しています。
本作品は貴族階級の女性の一日を描いた四連作のうちの一作ですが、他の三作のうち「朝」という作品だけが現存しています。
「朝」
(1746年)
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