15世紀のフランドル地方(オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部の地方)の画家ロベルト・カンピンですが、現在、カンピン作と確定している作品はのこされていません。
また、ヤン・ファン・エイクとともに油彩を初めて試みた画家と考えられています。
カンピンは、作品に署名をしておらず、「メロードの祭壇画」を展示しているメトロポリタン美術館では作品の作者を゛ロベルト・カンピンと助手”としています。
作品 メロードの祭壇画
本作品は典型的な三連祭壇画で、中央パネルには受胎告知が描かれ右パネルには聖ヨセフ、左パネルには作品の注文者が描かれています。
「メロードの祭壇画」
(1425-1428年頃)
中央パネル 受胎告知
中央パネルで描かれている受胎告知ですが、神聖な場面であり当時は教会や荘厳な背景で描かれましたが、本作品では普通の部屋の様子で描かれ親近感を持たせています。
また、作品中では受胎告知や聖母マリアを示す表現が描かれています。
窓から飛んでくるイエス・キリスト
十字架を持ったイエス・キリストが丸形の窓から飛び込んできています。
マリアがイエス・キリストを妊娠することを示しています。
テーブルの上の本
テーブルの上に描かれている本は聖書ですが、旧約聖書だとされています。マリアが読んでいる本が新約聖書とされています。
ページがよれている様子が描かれており、何度も読み込まれていることを示しています。
テーブルの上のユリと花瓶
ユリはマリアの純潔性、処女性を示すものとして聖母マリアとともに描かれるもので、後ろの白い布も純潔性を示すものです。
白い花瓶に文字のような模様が描かれており、カンピンの署名ではないかと議論されています。
テーブルの上のローソク
テーブルの上のローソクがちょうど火が消えた様子で描かれています。
これは、テーブルの上の旧約聖書と合わせて、古い時代の終わりをいみしています。
椅子からおりているマリア
マリアは椅子に座らず床におりています。これはマリアの謙遜を意味しており、マリアの服のひだに光が当たり星のように描かれており、マリアの神秘性を示しています。
マリアの頭上には火がついていないロウソクが描かれていますが、テーブルの上のローソクの火がちょうど消えたのに対して、これから新時代がはじまることを言意味していると考えられています。
右パネル 聖ヨセフ
右パネルには後にマリアと結婚する聖ヨセフが描かれています。
窓の外と作業台の上にネズミ捕りが2つ描かれています。
ネズミ捕りは、将来イエス・キリストが捕まってしまうことを暗示しており、誰にでも見えるように」外に置かれたネズミ捕りは、イエス・キリストが悪魔を捕らえることの囮でもあることを意味しています。
聖ヨセフが作っているのはワイン作りに必要な道具とされ、ワインはイエス・キリストの血とされていた為、イエス・キリストのことを示しています。
左のパネル 作品の発注者
左のパネルには作品の発注者が描かれていると考えられています。
作品上では受胎告知の目撃者の位置づけで描かれています。
本作品の発注者は分かっていませんが、ベルギーのメロード家が所有していたことから、作品名「メロードの祭壇画」と呼ばれています。
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